還暦祝いの時期について
還暦に関する基礎知識について
かつて暦を示す方法として十二支と十干が用いられていました。
十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二を年に当てたもの。
十干は中国古代思想における五元素の木・火・土・金・水の五行をそれぞれ兄と弟に分けたもので、甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戌(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)の十をいいます。
この組み合わせで年を表すのがいわゆる干支で、たとえば壬申の乱があった627年は壬申、明治に改元された1868年は戊申です。
この干支が一回りして、おなじ組み合わせに戻るのにかかる期間が60年なのです。
ここから数え年で61歳(満60歳)になり、生まれたときの干支を迎えた者を本卦返りと呼び、赤ん坊に戻ったとするのです。還暦の人に赤い着物を贈る習慣は、この考えに基づいています。
平均寿命が今よりずっと短かった昔、還暦は長生きの一つの目標でした。それゆえ賑々しく祝われたのですが、同時に社寺でお祓いを受けたり、親類や近隣の者を招いて御馳走したりするなど、厄払いに似た儀礼も行ないました。
いつお祝いを贈るのかについて
還暦祝いを贈る時期は、誕生日の一週間前から誕生日の前日までの間にします。
祝賀会がある場合は、当日に持参されても結構です。
おすすめなプレゼントについて
60歳の還暦では、「赤いちゃんちゃんこ」の習わしにちなんで、赤い色のセーターやベスト、シャツ、ブラウスといった衣料品がよく用いられます。
また、色にこだわることなく、絵筆や釣り竿といった趣味に生かせる品、日常生活を快適にする品を選んでください。
好きなお芝居の上等の席のチケットなども良いアイデアです。時期によって、マフラーなども喜ばれます。
いずれにしても、本人が選ぶものよりも少し若向きのものをお選びください。
おすすめの品物:歌舞伎などの観劇チケット、旅行券、釣り竿、絵筆、和装小物、陶磁器、ゴルフクラブ、ゴルフクラブのカバーセット、茶道具、碁盤、漆器、アクセサリー、日本酒やワインなどのお酒
また、健康を損ねている方には、健康の回復を祈って、「電気毛布」や「羽布団」などを贈るのもオススメです。
おすすめ出来ない記念品について
冠婚葬祭の贈り物は、現金や品物です。贈り物は、人間関係をスムーズにする、日本の礼儀のひとつでもあります。最近では、そのマナーや慣習もゆるく、薄れつつあります。贈り物のタブーについても、あまり気にする人はいなくなってきています。
とはいえ、せっかくの贈り物でタブーは避けたいもの。知っていけば、相手に不快な思いをさせずに済む、最低限のものをご紹介いたします。
☆ハンカチ・・・ハンカチとは漢字で「手巾(てぎれ)」と書くため、手切れを連想させるので、NGです。また、白いハンカチは別れを連想させるのでタブーとされています。
☆櫛・・・「苦」や「死」を連想させる「くし」は縁起が悪い贈り物です。
☆日本茶・・・弔事に使われることの多い日本茶は、お祝いの贈り物には不適切とされています。しかし、お茶好きな相手へ贈る際には、オシャレなデザインのものを選べば失礼にはあたりません。
☆印鑑・・・印鑑を贈るということは、責任を持てという意味が込められるため、両親や兄弟、上司以外が贈るのは避けた方がいいでしょう。
☆時計・かばん・・・時計やかばんは勤勉を意味するので、目上の人に贈るときには注意が必要です。親しい間柄なら問題ありません。
☆履物・マット類・・・相手を踏みつけるという意味合いから、目上の人に贈る時には注意が必要です。親しい間柄なら問題ありません。
家族にプレゼントする旅行について
60歳は多くの企業で定年退職の年齢でもあります。
定年退職までの間の働きで、家族は暮しを立ててきたわけですし、子どもたちの成長もそれがあってのもの。退職した親には心から感謝とねぎらいの言葉を伝え、なにか贈り物をするのが、子どもとしてのつとめといってもいいと思います。
できる範囲で子供たちが資金を出し合い、両親に旅行のプレゼントをするのが、この場合のベストチョイスではないでしょうか。
夫婦でゆっくり旅程をたどることなど、現役時代にはなかなかできなかったはずですから、これはなによりの贈り物になります。資金的に余裕があれば、海外旅行というのも選択肢に入れましょう。
☆旅行についての注意点について
両親のどちらかが欠けているというケースでは、子どもの誰かが都合をつけて、同行するようにしたいものです。本人の希望があれば別ですが、定年退職後の一人旅はちょっと寂しすぎる気がします。
プレゼントに添えるメッセージカードの文例について
・ご長寿バンザイ! いつまでも健康で、明るく楽しい日々を送られますよう、お祈りいたします。
・還暦おめでとうございます。いつまでもご健康で明るくお過ごしくださいますよう、お祈りいたします。
・つつがなく還暦を迎えられましたこと、お喜び申しあげます。いつまでもお元気で。あわせてご家族の皆様のご健勝をお祈りいたします。
・つつがなく還暦を迎えられましたこと、心からお祝いを申しあげます。一層のご健勝とご多幸をお祈りいたします。
・謹んで還暦のお祝いを申しあげます。いつまでも、お健やかでいらっしゃいますよう、心からお祈りいたします。
・謹んで還暦のお祝いを申しあげます。ますますお元気で長生きされますよう、お祈りいたします。
・めでたく還暦をお迎えの由、心からお祝い申しあげますとともに、ますますのご健勝をお祈りいたします。
・めでたく還暦をお迎えの由、心からお祝い申しあげますとともに、ますますのご健勝を祈念いたします。
「大人のマナー便利帳」より
「NTT D-MAIL」より